こんにちは。
はならぁと部です。
 
今回は、八木札の辻エリアを担当されるキュレーターの
魚住勇太さんにインタビューさせて頂きました。

魚住さんは「SjQ」という音楽集団を率いる電子音楽家で、
昨年の『はならぁと』きたまちエリアでは、音楽を使ったインスタレーション作品を
出展されていました。


※魚住勇太さんのプロフィールはこちらから。
http://hanarart.jp/news/archives/603


今年はキュレーターとして『はならぁと』に携わることに。
今、どのように八木エリアの展示をキュレーションしようとされているのか、
伺ってきました!
では、インタビュー記事をどうぞ!!

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

――魚住さんのプロフィールを拝見していると、アーティストでもあり、
音楽家でもありという、わりと特殊なスタンスを感じたんですが、どういった表現活動を
されていたんでしょうか?


魚住:
僕のもともとの出自である電子音楽っていうのは、
テクノロジーと音楽の組み合わせで何か新しいものをつくったり、
テクノロジーにインスパイアされて音楽のアイデアを手に入れるっていう、
そういう発想が元々あって、僕もその流れの中でいろいろやってました。


――「流れ」ですか?

魚住:
はい。科学とか思想とかって、ある種、流行のような、流れのようなものがあるんですね。
それはアートでもそうなんですけど、そういった流れが互いに相関し合ってるんですよ。
その中のどれかが一歩先に進んだら、他の分野の視点や価値観も変わったり。


――他ジャンルとも影響し合っている、ということでしょうか?

魚住:
たとえばアートやってる人なんかが、
(別の分野の変化に触発されて)「あ、こういう風に見えるんだ」ってなったら、
彼らもこの世界とか社会の中にいてものをつくってる以上、当然やる内容や、
それを受け取る側にも影響が出てきます。


――音楽とアートは相関し合ってそうだなっていうのは、
何となくイメージができるんですが、科学や思想とも影響し合うんですね。


魚住:
そうなんです。ひょとしたらその影響で考え方も180度変わるかもしれない。
みんな違う分野で活動していても、実はその向こう側を見ているんですね。
僕の場合は学生の時に、「複雑系」とか「マルチエージェント」って言われる
人工知能の新しい流れがあったんで、そこがおもしろいなって思っていて、
それに合わせて自分の表現とかもちょっとずつ変わっていったっていうところがあります。


――マルチエージェントというのは?

魚住:
コンピューターのプラグラムって、最初に指揮者のようなものをひとり設定して、
その指揮者が何もかも命令を下す、っていうのが普通のプログラムなんです。
それと違ってマルチエージェントっていうのは、もっと分散しています。


――分散というと、トップダウンで指示するんではなくて…。

魚住:
あ、そうです。ボトムアップで何かをつくり出していく。
小さなブログラム達が同時に働いて、お互いに影響しあいながら、
協調したり競合しながら物事を解決していきます。
それこそ、八木のまちづくりなんかとも似ていて…。

uozumi

――まちづくりと似ているんですか?

魚住:
はい。八木の町の人たちはみんなそれぞれ、何かしらの自分の考えや想いを
持っていて、その人たちがお互いに何となく影響したりしていて、
お互いの関係の中で何となく解決していく、っていう状況はあると思うんですが、
…たとえば、ちょっかい出したりもすれば場合によっては協力したりとか。
そういう風に関係性でものごとを解決していくシステムが、
「マルチエージェント」という方法としてあるんですよ。


――関係性で解決していく…。

魚住:
これが音楽の場合でも、ある作曲家が一人いて、その作曲家が独裁的にスコアを書く
っていう方法が一般的にあるんですが、そうではなくて、「マルチエージェント」の
やり方を使って、作曲家がいなくても何となく音符同士の関係の中から音楽が生まれてくる、
っていう方法ができるんじゃないか、っていうことが僕の創作と研究のテーマだったんですね。


――おもしろいですね!音楽ともつながるとは…。

魚住:
「関係性」という視点で見ていくと似てるところがいっぱいあります。
バンドの中の関係性だったりとか、音のアンサンブルだったりとか、
光と映像と動きだったりとか、そういった関係性をさわっていくことで何か新しい体験を
創造していくっていう意味では、どれも(まちづくり、コンピューター、音楽など)
けっこう近い部分はあるのかなと。
僕は「フレームワーク」って呼んでるんですけど。


――その「フレームワーク」の手法で、八木の町にも関わっていらっしゃる?

魚住:
八木に来てから河合さん(※)がずっと付いてくれていろんな人と会わせてくれて、
やっぱりすごい刺激にもなるし、
その八木のみなさんの関係性の中で何かが動いていているのも見えたりする。
(※河合さん=八木まちづくりネットワーク)

5月の段階で、八木の町を河合さんに案内して頂いたんですけど、
あの頃はまだ涼しくて、それでも朝から晩までずっと歩きまわって、
僕はへとへとになったんですけど、河合さんは全然元気でした(笑)

…で、そのときに八木の中でも特におもしろい場所っていうのを、
4か所ぐらい選ばせて頂いたんですよ。


――(資料写真を見ながら)魚屋さんですね。何というかノスタルジックでいいですね。

魚住:
その魚屋さんも別に保存しているわけでもなく、普通に営業されてて。
八木のみなさんからしたら、普段から生活されてるせいなのか、
「こんなとこでいいの?」とかおっしゃったりするんですけどね。
「古い景色」にもいろいろあると思うんですが、ここは、
いわゆる観光化され、歴史として保存されている町並みとは違って、
人々の暮らしと場所の経緯がそのまま残ってるような場所ですね。

歩いてるうちに当時、夕暮れぐらいになって、懐かしい感じとか、
どっかで観たことあるなっていう感覚があって、
ここの空間をそのままアートにしたいなと思いましたね。
八木の町を歩いていて、「ふと気が付いたら作品に囲まれてた」みたいな。


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(※写真左が、NPO法人 八木まちづくりネットワークの河合さん。)


――「アートってわかりにくい」って思われてる方は多くいらっしゃると思うんですけど、
魚住さんはそういった声に対して、どうやって応答されていますか?


魚住:
そうですね。
僕も今回の八木とかでも「何するんですか?」って聞かれて説明するんですよ。
河合さんが紹介してくださった方とかに。
でも、僕が説明するたびに河合さんの顔がどんどんこう、険しくなっていく(笑)
「どういうことやねん?」みたいな感じになっていって(笑)


――苦労されてるんですね(笑)

魚住:
本質としては「旅行」なんかと近いのかなと思ってて、
「いつもと違うもの」とか「いつもと違う場所」って、脳みそがちょっと喜ぶじゃないですか。


――脳みそが喜ぶ!?

魚住:
「なんや、これ!こんなん食べたことないわ」とか、「えらいキレイやな、この山」とか、
「宿に帰る道がおもしろい」とか、まあ、何でもいいんですけど(笑)
…そういう意味でいうと、「なんやこれ!」っていうのは、別に悪いことではなくて、
ただ単に好き嫌いですよね。


――なるほど。たとえば、インドは好き嫌いが分かれるってよく言いますね(笑)

魚住:
そうそう!そこはね、違ってもいいと思うんです。
違うなって思ってる時点で、表現としてはある種成功してて、あとは、
そこの好き嫌いかなって思ってて。


yagi

魚住:
ただ、僕が今回の八木でテーマに選んだ「光と音」というのは、
全然マニアックなものではなくて。
光の明滅でいえば「線香花火」だったり、音の響きなんかは「鈴虫」や「風鈴」だったり、
日本人がわりと感覚として共有してるところがあるので、そこを捉えられれば、
たぶんちっちゃな子供でも、お年寄りでも、気持ちいいんじゃないかなぁと思ってます。


――誰でも直感的に理解できそうですね。

魚住:
あと、僕の力ではなくて、アーティストさんの力と、やっぱりその触媒となる空間との
関係だと思うんですよ。
そこがインターフェイスとしてつないでくれるはずなので、そこをしっかり使えば
大丈夫かなと思ってて、そういう意味ではあまり心配はしてないですね。


――なるほど。今日は、とてもおもしろいお話を聞かせて頂きました。ありがとうございました。

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以上、魚住さんにお話を伺いました。
作品づくりやキュレーションについて、深くて繊細な話を聞かせて頂くことができて、
刺激的なインタビューになりました。

八木まちづくりネットワークの河合さんを始め、町での協力者の方と一緒に、
制作準備を進める過程が、すでに作品の共同制作が始まっているように感じられると、
とても楽しそうに話される姿が印象的でした。

「光と音」と「八木の町」全体を使った展示空間に、足を踏み入れるのがとても楽しみです!

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[八木札の辻エリア キュレーター会場スケジュール]
・ADSR展
 期間 10/24-11/3
 時間 17:15-19:45
 会場 環濠跡・JR畝傍駅・南八木 昭和スクエア・好川別邸
    ※好川別邸のみ10:00-19:45 ※環濠跡・JR畝傍駅・南八木昭和スクエアは観覧無料
 共催 橿原市
 技術協賛 杉井電気商業株式会社
      Programming:Mohayonao, YutaUozumi 
      Technical Direction(Lighting):ShujiYamamoto

・TRANSITION 橿原市主催「旅籠の集い」連動企画
 開催日時 10/25(日)15:00-20:00
 会場 八木札の辻交流館
 鑑賞料 無料 事前予約 不要

※詳細は、公式webページにて!⇒http://hanarart.jp/2015/yagi-minami

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明日9月16日(水)には、大阪・難波にてトークイベントが開催されます〜!
そちらも是非どうぞ! http://hanarart.jp/news/archives/738

(M)


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