こんにちは!
はならぁと2014、いよいよ明日スタートです!

さて、本日は、奈良きたまちエリア、生駒宝山寺参道エリアに引き続き、
郡山城下町エリアのキュレーターさん、作家さんへのインタビューを紹介します。
 
郡山城下町エリアには、ふたつの「こあ」会場があります。
今回は、そのうちのひとつ「南大工町の家」のご紹介です。
 
◆森山牧子さん(キュレーター)
◆今村遼佑さん(展示作家)
 
●「はならぁと」大和郡山エリア「南大工町の家」紹介ページ:
http://hanarart.jp/2014/core_minimidaiku.html
 
 

◆展示会場「南大工町の家」のお掃除終了直後のお二人
 

――「はならぁと」は、地域とのつながりの中で芸術祭を作っていこうという意識が
あります。参加される際には、やはりそのようなことは森山さんご自身も意識されましたか。
 

森山さん(以下、敬称略):そうですね。
元々、はならぁとには2012年に公募で初めて参加しました。
アートにもまちづくりにも興味があったので、面白いと思ったのがきっかけです。
当時は、自宅と開催会場との距離が遠く、ベストは尽くしましたが、準備期間中に
自分自身が思っているように足を運ぶことが出来ませんでした。
そのときに感じた「もっと地域の方々とコミュニケーションをとりたい!」という思いから、
今年は足繁く通ってコミュニケーションをとることを目標にしています。
 

――地域の方々と交流を持たれたいという森山さんのお気持ちは、まちづくり型
アートイベントである「はならぁと」と、とてもリンクしていると感じました。
前回参加された際の印象的な出来事はありますか。

 
森山:前回は、リノベーションされた町家を担当しました。
部屋を真っ暗にして展示をしたのですが、その際自然光が差し込んできていて、
欄間がほのかな光に照らされていたんですね。それをご覧になった住人の方が
「うちの欄間って、こんなんやったんやなぁ。見上げたこともなかったな」と
おっしゃったんです。とても印象に残っています。
 
――本当に印象的な出来事ですね。
住人の方が見上げたこともなかった欄間に、自然と目が向くという…。
 

森山:はい。
私は、日常に、いつもと違う視点を与えることができるものが、現代アートの魅力のひとつ
だと考えています。現代アートにより、普段と違うところに目を向ける、視点が変わる
というのがおもしろいなと感じています。
この出来事も、まさにそれを実現できたものだと思っています。
 
――いつもと違うところに目を向けることができるというのは、現代アートの持つ
おもしろさのひとつなんですね。今村さんはどのようにお考えですか。
 
 
今村:文学や音楽といったジャンルからもれた受け皿のような存在が現代アートだと
考えています。自分の中にあるものを表現したいという欲求は、人間にとって
根源的欲求ですよね。今まで見たこともないものを作りたいという欲求です。
その欲求が結びつくのが現代アートではないかと思います。

ただ、僕自身は、自分の作品については「美術」という言い方をすることの方が多いです。
 
――今「美術」というお言葉が出てきたのですが、「アート」と「美術」の違いというのが、
一般の人にはなかなかわかりにくいのかなと思うのですが、今村さんがお考えになられる
両者の違いは何でしょうか。

 
今村:難しく考えていただく必要はないと思っています。
あくまでも自分自身のことになるのですが…。
僕は子供の頃から絵や工作が好きで、よく描いたり作ったりしていたんですね。
高校でも美術部に所属していましたし、今の活動は、その延長線上にあるものなので、
「アート」ではなくて「美術」と呼ぶほうがしっくりきます。

――今村さんは、子供の頃から絵を描かれていたご自身の経験をベースにして、
「美術」という言葉を現在のご自身の作品にも用いられているんですね。


今村:子供の頃自分が描いた絵のことは、「美術」と呼ぶだろうと思うんです。
当時、それが「アート」だとは思ってやっていないんです。なので、その延長線上にある
自分の作品のことをそう呼ぶことは自然なことかなと考えています。


森山:「アート」と「美術」の違いについては、アート業界でも人によって
解釈が違うかなと思いますし、自分自身がどのように呼ばれたいのかというのも
人によって違うと思います。
 
今村:アーティスト、美術家、美術作家…などいろいろとありますよね。
そのうち、どう呼ばれたいのかは、人それぞれ好みがあります。
僕の場合は、自分自身は美術作家であると考えています。
あと、職業を名乗る場所にもよるかもしれません。
例えば、親戚が集まった場所で「職業はアーティストです!」と言うより
「美術作家しています」と言った方が伝わりやすいですよね(笑)
 
 
◆展示会場「南大工町の家」のお掃除中の風景 
 
――お二人はキュレーターさんと作家さんということで、具体的な仕事内容は
  それぞれ違うと思うのですが、お仕事をされていて、楽しいことはありますか?
  逆に苦しいこともあるのでしょうか?

 
森山:ギャラリーを運営しているギャラリスト、というと響きはかっこいいかもしれませんが、
実際は肉体労働が多くて、年を重ねても仕事内容はそのままなので体力的にしんどいですね(笑)。 
 
――今日も展示会場のお掃除のお手伝いをさせていただいた際に、荷物を運んだり、
  高いところを拭いたりと体力勝負だなと思う機会が多くありました

 
森山:そうでしょう。
でも、そうやって準備しつつ何が起こるかわからないのが楽しいんですよ。
予定調和でないので、振り回される時もありますが、それが楽しいんですよね。
私の場合はキュレーターですから、作家さんの作品がないと仕事が成り立たないので、
作家さんのことはとても尊敬していますし、作家さんが思考しているのを間近で
見ることができるのがおもしろくて。
 

――作家さんが思考される姿を間近で見ることができるのは、キュレーターさんの
特権ですね。では、作家さんの苦しさや楽しさとはどのようなものでしょうか。

 
今村:そうですねぇ…。作品が完成したときも「できた!」というよりは
「できてるのか?」とか「これでいいのか?」とか思うので不安なんですよね。
 
――そうなんですか!私だったら「できた!」と大喜びしてしまいそうですが…(笑)。
  それでは、なかなか楽しさというのを感じられることがないんですね。
 

今村:いえ、自分の中で、自分自身の作品に対する個人的な価値基準があるので、
それに照らし合わせてみて良い作品ができたと思うときは嬉しいです。
作品を見ていただいた方に「良い作品ですね」と言われることも、もちろん嬉しいのですが、
自分自身で納得することができたときが、特に嬉しいですね。 
 
――作品を制作されている最中はいかがですか。
 
今村:苦しいときも楽しいときも両方です。
でも、どのような作品にしようかと思考している時間は楽しいですね。
 
美術作家というと特別な職業に思われるのかもしれませんが、
他の一般的な職業と同じようなものではないかなと考えています。
展覧会前で忙しくなると、夜中まで作品制作を行います。それが、展覧会が終わると、
7時とか8時台で帰宅するので、いつも見ていないテレビ番組をぼーっと見て
くつろいだりするんですけど、そういうとき、プライベートな嬉しさを感じますよね。

――そのお話だけをお聞きすると、一般的な会社員の日常と変わらないですね。
  美術作家さんが、とても身近な存在に感じました。

 
 

◆郡山城下町エリアのメインストリートである柳町商店街
 
 
――お二人は、奈良という土地へは、どのような印象お持ちでしょうか?
 
森山:私は普段大阪で暮らしていて、奈良特別な思い入れがあるわけでは
ないのですが…奈良って、大阪とも京都とも違いますよね。おおらかな気持ちになれる
というか。そういうところが好きですね。
 
今村:僕は、場所にこだわらず、普段いろいろなところに呼んでいただいて展示をしています。
それが自分自身の勉強になると考えているためです。
なので、奈良に対して何か特別な思い入れがあるわけではないのですが、
学生時代はよく奈良に遊びに来ていたので、懐かしい気持ちもあります。
久々にこうして奈良に来て作品を作ることが出来るのは嬉しいことではありますね。
見に来ていただいた方に、何か新しい価値みたいなものを見出してもらえるようにしたいと
考えています。
 
森山:今村さんは、いろいろなところで展示されていますが、決してマンネリ
しないんですよね。その土地その土地でふさわしい作品を展示しておられます。
空間の捉え方が上手なんですよね。
 
今村:地域との距離の取り方を毎回考えています。
地域の歴史というよりは、もっと狭い範囲の、建物の歴史とかから考えています。
また、作品の形態がインスタレーションなので、空間の捉え方は大事に考えています。
 

――展示会場の「南大工町の家」から、今村さんがどのような感覚を汲み取って
  作品を形にされていくのか、とても楽しみです。
  本日はお話をお聞かせいただいてありがとうございました。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<インタビューを終えて>
 
作家さんが作品を構想されている姿を間近で見られることが
キュレーターという職業の特権と話されていた森山さんのお言葉が印象的でした。
実際にこのインタビューをさせていただいたことを通して、今村さんの作品制作に対する思いを
知ることができただけでも、私にとっては非常に興味深い出来事でした。
そのような作家さんの思考の過程を常に間近で見ることのできるキュレーターさんを、
とてもうらやましく感じました。
 
今回のインタビューを通して、それぞれ職業としてのキュレーターさん、
作家さんのお姿を垣間見ることが出来たのではないかと思います。
 
皆様、お越しになられる際には、準備・制作過程のこともご想像されながら、
作品をご覧になってください!(S)

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 <キュレーター・出展作家プロフィール>

森山 牧子(もりやま まきこ)
東京都生まれ。立教大学経済学部卒業。玉川大学通信教育部にて学芸員資格取得。

パブリックアート、アートコーディネートの企画制作会社勤務などを経て、現在大阪府在住。

2004-05年パリに1年間滞在。そこで現代アートに数多く触れ、帰国後、京都および大阪の現代アートギャラリーに勤務(2006-13)。現在は京都市内を会場に展開する写真フェスティバル、KYOTOGRAPHIE国際写真フェスティバルの事務局スタッフとして働く。また、フリーで現代アートの展覧会企画を行う。
過去の企画に、「Abysses ダミアン・グゲンハイム写真展」GALLERY ANTENNA(京都、2014)、 「奈良・町家の芸術祭 HANARART」三輪の町家2軒のキュレーション(2012)、「閨秀2.0」思文閣会館内 CAVE(京都、2011)[樋口ヒロユキ(サブカルチャー・美術評論家)との共同企画]がある。

今村 遼佑(いまむら りょうすけ)b.1982
京都府生まれ。2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。京都市在住。
主な個展に、「冬の日」MA2ギャラリー(東京、2014)、「炭酸水、時計、窓の外」アートスペース虹(京都、2013)、「ひるのまをながめる」資生堂ギャラリー(東京、2011)。主なグループ展に、「アート・スコープ2012-2014 旅の後もしくは痕」原美術館(東京、2014)、「龍野アートプロジェクト 刻の記憶」(兵庫、2013)。
「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」公募大賞グランプリ(2012)、「第5回 shiseido art egg賞」(2011)

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