はならぁと2014の「こあ」会場のキュレーターさん、作家さんに
インタビューさせていただいてまいりましたが、今回は最後のインタビュー
となりました、郡山城下町エリア「こあ」会場「旧川本邸」のご紹介です!

「K+」(けいたす)
◆河内晋平さん(キュレーター)
◆窪山洋子さん(キュレーター)

◆「はならぁと」郡山城下町エリア(旧川本邸)紹介ページ:
http://hanarart.jp/2014/core/koriyama-kawamoto



◆左)河内晋平さん、右)窪山洋子さん
展示会場「旧川本邸」の前でのひとこま


――展示会場の「旧川本邸」では、他の「こあ」会場とは異なり、
2名のキュレーターさんが担当されていますね。


窪山さん(以下、敬称略):私たち「K+」(けいたす)は、今年のはならぁとを
きっかけに結成しました。
元々、アートディレクターの山中さんから、「今年のはならぁとに参加しないか」と
お声かけいただいたのですが、せっかく参加するなら会場のある郡山に縁のある方と
ご一緒したいと思い、私から河内さんにお声かけしたのがはじまりです。

――今年のはならぁとに参加されるにあたって「K+」を結成されたんですね。

窪山:私も河内さんも(奈良県立)郡山高等学校の出身なんです。
それで、郡山高校と私たち二人の名字の頭文字がすべてKということで
「K+」という名前にしました。

――高校在学中から、お互いのことをご存知だったのでしょうか。

河内:高校時代は全然知らなかったですね。
僕は、当時はプロ野球選手になりたくて野球部の練習に勤しんでいたので、
美術のことは何もしていなかったんです。

窪山:そうですね。高校時代はお互いに面識はなかったです。
ただ、高校卒業後、美術関係の道へ進む人が少ない高校だったので、
卒業後の河内さんの活動などはなんとなく知ってましたし、友人を通して話を
聞く機会はありました。それで、友人伝いに河内さんにご連絡を取らせていただきました。

――なるほど…。お二人とも郡山高校ご出身ということですが、この「旧川本邸」界隈には
高校生のころに来られたことはありましたか。


窪山:それが、全く知らなかったんですよね。
「旧川本邸」があるあたりには、足を踏み入れたことがなくて。

河内:僕も、駅周辺とか高校周辺しか来たことがなかったですね。
なので「旧川本邸」のそばにある源九郎稲荷神社とかも知らなかったです。


◆展示会場の「旧川本邸」の外観

――では、今回はならぁとに参加されることになって、初めて「旧川本邸」をご覧になられた
ということなのですが、どのような印象をお持ちになられたのでしょうか


河内:そうですねぇ。
「旧川本邸」を初めて見たとき「この建物をそのまま作家に見せれば、すぐに作品の
イメージがわくだろう」という自信はありました。
一般的なギャラリーのホワイトキューブとは違って、建物の持つ独特の雰囲気や歴史から、
自ずと作品イメージが湧き上がってくるだろうなと。

窪山:ただ、実際に具体的な展示については、直前まで試行錯誤を重ねました。
ご来場者の方に巡っていただく順路は決めていたのですが、どこにどの作家の作品を
展示するのかということは、すごく悩みました。

――「旧川本邸」の2階は、部屋がたくさんあるので、展示の方法が難しそうですね。

窪山:そうですね。2階の展示は、最後までなかなか決まりませんでした。
はじめは、一つの部屋に様々な作家の作品を混在させようと思っていましたが、
試行して考えた結果、一つの部屋に一人の作家の作品を展示するという手法を取りました。
様々な作家の作品を建物内に点在させることで、ご来場者の方は、たくさんある部屋を
巡っていくうちに、何度も同じ作家の作品に出会うことになります。
「あ、さっきも見たな」と思っていただけるようにしたいなと思って、こうしました。

――実際に拝見させていただいて、まさに「あ、さっきも見たな」という感覚になりました。
1階の展示はいかがでしょうか。


窪山:1階の料理坊や茶室は今まであまり公開されていなかったようなのですが、
初めて見たときに、会場のポテンシャルが高く、旧川本邸の特徴がある部分を
全て見せたいなと思って。それで利用することにしました。
元々持っている雰囲気と、作品とがうまくマッチしたのではないかと思っています。
また、浴室については、天井に元々残されている家紋を見ていただきたいと思い、
ここには展示作品は置きませんでした。建物のつくりもじっくりご覧いただきたいですね。

◆展示会場「旧川本邸」1階の旧厨房の展示の一部

――「はならぁと」へは今回初めて参加されたということで、準備期間を経て
開催を迎えられましたが、実際に参加されてどのような印象をお持ちでしょうか。


河内:率直に申し上げますと、参加することが決まるまで「はならぁと」のことは
全く知らなかったんです。僕は普段東京で仕事をしているのですが、
東京へは「はならぁと」の情報は入ってきません。
ただ、窪山さんから声をかけてもらったときに「旧川本邸」というキーワードが
大変気になりましたし、自分自身の出身地でもある奈良で行われているアートイベント
ということだったので、お話をお受けしたいと思いました。奈良出身とは言いつつも
普段東京で活動しているので、よそ者の視点で取り組んでいこうと思い、参加を決めました。

――関東のアート業界では、認知度が低いということなんでしょうか…。

河内:そうですねぇ。
地域密着のアートイベントなのですぐにはなかなか仕方のないこと
なのかもしれないとも思いますが。
ただ、作家にとってのキャリアという観点から見ると、このように地域密着でまだまだ
小規模なアートイベントに参加・出展することはマイナスにもなりかねないんです。

――作家さんのキャリアにとってマイナスになる恐れがあるのですか。
私自身がアート業界の仕組みをよく理解していないこともありまして、
今お聞きしてとても驚きました。


河内:作家のキャリアという観点から見れば、自身の作品をより強固にしていきつつ、
ステップアップしていかないといけない。
なので、世界的なトリエンナーレや現代アートの世界で注目されている展示や
展覧会などに参加して、世界的な作家と肩を並べていくんだという思いで
作家活動をしている人からすれば、奈良という地方都市で行われている
アートイベントに参加するというのは、キャリア的にはマイナスになりかねないです。
そういう理由で断る作家は実際にいます。


――そうだったんですね。では、展示していただく作家さんを集めるのにもご苦労があったんですね。

河内:僕が声をかけた作家の西尾(美也)は、世界的にも実績のある作家ですが、
彼自身も出身が奈良ということで、地元である奈良のためならと参加を快諾してくれました。

――K+のおふたりもそうですけれど、奈良という土地への愛着をお持ちの方が
参加してくださるのは、まちづくり型アートイベントである「はならぁと」にとって、
良いことだと感じます。


窪山:そうですね。
ただ、私も学生時代を奈良で過ごしたとはいえ、普段は大阪で活動していますので、
少しよそ者視点で「はならぁと」へ参加しました。
でも、実際に郡山界隈を散策してみると、高校時代には気がつかなかった、
とても良い雰囲気をもつ町だなと感じました。それで、今回の展示をするにあたっても、
私たちのように奈良にゆかりがある人たちが、もう一度地域に目を向けてもらうきっかけを
作りたいと思って、チラシを配布するとか、作品に必要なものを集めるのに
協力してもらうとか、奈良の知人や企業、高校時代の同級生などに手伝ってもらいました。


――そのように、準備段階で地域の方にご協力していただくことは、まさに、
まちづくり型アートイベントの醍醐味とも言えますね。


窪山:はい。
今回の「旧川本邸」の2階の展示では、郡山城下町エリアにある柳町商店街のお店の方々にも
ご協力いただきました。
そのうちのひとつである「松本洋品店」さんは昔のお店の看板も提供してくださって。
そういった展示にも目を向けていただきたいですね。

河内:先ほど参加するまでは「はならぁと」のことは全然知らなかったと
お話ししたんですが、実際に参加してみると、もちろん全員ではないとはいえ
地域の方々にも愛されて、楽しみにしてもらっていて、素晴らしい取り組みだと感じています。
もっと「はならぁと」のことを多くの人に知ってもらえるように今後奈良県や
運営を担当される方々にもぜひ頑張っていただきたいです。



――郡山という土地に縁がありつつも、現在はそれぞれ異なる土地で活動されている
K+のおふたりが、どのように「旧川本邸」にまなざしを向けられてキュレーションを
行われたのか、皆さんにも実際に足をお運びいただいてご覧いただきたいですね。
本日は、お話をお伺いさせていただいてありがとうございました。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

<インタビューを終えて>
 
このインタビューをご覧いただいて、いつもとは違った角度から
「はならぁと」を見ていただくことができたのではないでしょうか。

「はならぁと」のような地域密着型イベントと作家さんのキャリア
との関係性という、これまでわたしが考えたことのなかった観点の
お話をお聞かせいただいて、本当に学ぶことが多くありました。
「はならぁと」の特色は、地域密着のまちづくり型アートイベントである
ことだと個人的には思っていましたが、それだけでは、作家さんにとっては
魅力的なアートイベントだとは思っていただけないのですね。

今後もよりよく継続していくためには、たくさんの課題があることを
実感させられました。(S)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 <キュレータープロフィール>

河内 晋平(かわち しんぺい)
(株)studio仕組代表取締役、東京芸術大学研究員。
東京芸術大学美術学部工芸家漆芸専攻卒業、同大学院映像研究科修了。
東京国立博物館での約3年間の勤務を経て、現在東京芸術大学の研究員として
活動する傍ら、展覧会企画や美術品アーカイブ事業を行う。


窪山 洋子(くぼやま ひろこ)
BAB works代表。Bloom Gallery ディレクター。
一般企業に就職後、写真を学び、京都造形芸術大学で学芸員資格を取得。
2009年大阪市淀川区に「Bloom Galllery」をオープン。
写真を軸に企画展やワークショップを多数開催。
今年より他分野との領域横断的なプロジェクトも開始。
 

Comment
はならぁとの周遊バスに昨日 乗らせていただきました。

現代アートというのは
ほとんど関心がなかったのですが、大変興味深く見せていただきました。

特に、郡山の旧川本邸では、キュレーターの方にかなりいろいろ親切に解説していただき楽しかったです。

普段、芸術には縁の遠いものでも充分楽しめるイベントだなぁ、と思いました。
  • 宝本二三男
  • 2014/11/15 18:12





   

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