奈良きたまちエリアに続き、生駒参道宝山寺エリアのキュレーターさん、
作家さんへのインタビューをご紹介します。

 
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<”こあ”生駒参道宝山寺エリア>

村田典子さん(キュレーター)
◆栗田咲子さん(展示作家)
 
◆「はならぁと」生駒参道宝山寺エリア紹介ページ:

http://hanarart.jp/2014/core_houzanji.html
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生駒参道宝山寺エリアでは、参加作家さんが総勢19組!
栗田咲子さんは、そのうちのおひとりです。
 
展示会場の「旧たき万旅館」にて、お話をお伺いしました。

 
 左)栗田咲子さん、右)村田典子さん
左から、栗田咲子さん、村田典子さん
「旧たき万旅館」に一室だけある洋風のお部屋でのひとこま。
 
 
――「はならぁと」は、まちづくり型アートイベントということで、地域とのつながりの中で
芸術祭を作ってきました。その甲斐もあって、もともとアートに興味がある方以外にも、
様々な方に見に来ていただいています。
村田さんが普段運営されているギャラリーとの違いを意識されたりはしますか?

 
村田さん(以下、敬称略):はい。それはすごく意識しています。
普段ギャラリーに来てくださる方は、もともとアートに関心が高い方がほとんどなので、
やはり決まった顔ぶれのお客さんも多くなります。
こういった「はならぁと」のようなイベントに来る方は、普段はあまりアートに関心の
少ない方も多く来られる機会になるので、見せ方は考えないといけないと思っています。
(今回の展示会場である)「旧たき万旅館」を見たときに、建物自体も大変おもしろく、
部屋数も多いので、それを活かした形で、たくさんの作家さんに参加してもらうことにしました。
 
栗田:村田さんは、普段のギャラリーでも見せ方をすごく工夫されます。
ギャラリーのホワイトキューブでも、あえて壁紙を貼ったりとかして…。
 
村田:そうですね。壁紙を貼ることで「家で見るアート」というイメージを演出したことが
あります。

 
――おもしろい試みですね。作品を置くだけが展示ではないんですね。
 
村田:そうですね。現代アートというのは、今やものすごい多様性があって、
何の説明もなくても伝わってくるようなエモーショナルな作品もあれば、
コンセプトや、その作品についての背景を知っていないと理解できないものもあります。
「はならぁと」の展示に関しては、普段あまりアートに馴染みがない方でも、
楽しんで見てもらえるような展示にしたいと考えています。
 

◆会場の「旧たき万旅館」のお部屋
 
 
――村田さんが現代アートにご興味を持たれたきっかけは、どのようなものだったんですか?
 
村田:大学時代に、藤本由紀夫氏(※1)が授業に来られて…
そのときに「蛍光灯の音をきいたことがありますか」とおっしゃって、
それで「はっ!」としたんです。

 
――「蛍光灯の音」というと、「ブーン」といつもかすかに鳴っている低い音ですか?
 
村田:そうです。今までそんなこと考えたことなかったなと。他にも、展示会場に
葉っぱを敷いて、その上をサクサクと人が歩く音を作品として展示するアーティストの
お話も聞き、大変感銘を受けました。それで今の私があります。
もっとたくさんの人に、このような経験をしてもらいたいなと考えています。

 
――なるほど…。現代アートを通して、今までと違った見方を発見されたんですね。
 
村田:そうですね。現代アートというのは、自分の生きる世界の中で、新しい視点を
教えてくれるものです。たとえば「蛍光灯の音」を気にするところから始めてみる、
それがアートの視点だと思います。だから、私は水たまりを見るだけでも楽しいんです。
そう思うと、現代アートってある意味安上がりな趣味とも言えるでしょう。笑。

 
――現代アートというものは難しく感じていたのですが、特別なものではなく、
なんとなく身近なものにも感じてきました。

 
村田:芸術というのは「私は何で生まれてきたのだろう。私は何者なのだろう」という
根本的な問いを突き詰めていかないと成り立たないものだと考えています。
でも、普段の生活ではなかなかそれを考える機会がないですよね。私は出産経験があるので、
その経験を通して命と向き合うことができました。そういった経験を通して芸術というものを
考えていくことができるものと考えています。
 
現代アートというと特別に思われがちですが、例えばミュージシャンなら
音楽で自分の気持ちを表現したりとか、小説家なら文章で表現したりするのと一緒で、
絵を描いたり作品を制作することを通して、自分自身の気持ちを表現しているのが
現代アートの作家だということです。
 
栗田:そうですね。私も自分自身の中にある表現したいものを絵にしています。
特別なことではないと思っています。
 
 
宝山寺
◆宝山寺へ続く階段
 
 
――「旧たき万旅館」の前の階段を昇っていくとすぐに宝山寺がありますね。
 
 村田:そうですね。このあたり一帯は、独特の空気感があってとてもエネルギーのある場所
だと感じます。
最近、日常と非日常の境目がなくなって、世の中全体が平坦な毎日になっていると
思いませんか。私は、その境目とか違いが大切だと思っています。
影があってこその光ですよね。
このエリアが本来持っている独特の空気感を活かしながら、お祭りの場、ハレの場として
生駒宝山寺参道エリアを演出したいと考えています。

 
――会場に来るまでの道中も楽しいエリアですね。
  奈良に住んでいる方にとっても、意外なほど新鮮な風景が広がっていると思いました。
 
村田:電車で来られる方ですと、生駒駅からケーブルカーに乗って山を登り、
駅に着いたら宝山寺までの参道の階段を昇って「旧たき万旅館」に辿り着きます。

 
――(展示会場の)旅館の中を歩き回っていると、まるで迷路のように迷いそうでした。
 
村田:遊園地のお化け屋敷に入るような気分で、見に来ていただきたいですね。(笑)
会場では、作家たちも揃いの衣装を着て、来場するお客さんをお待ちしています。
もし、わからない作品があれば、遠慮なく作家たちに質問してください。
もちろん、私でも構いません。そこで、私は「アートって何だろう?」っていうことを、
来場される方達とお話ししてみたいと思っているんです。

 
――普段、現代アートに馴染みがない方にも、気軽に足を運んで頂いて、作家さんと
お話ししてほしいですね!
 
村田:ぜひ、お待ちしてます。
そして、おそらく他の「こあ」エリアでは行わないであろう試みなんですが、
「炊き出し」をしようと思っています!
会場の「旧たき万旅館」は、昔の旅館なので玄関を入るとロビーがあります。
このロビーを利用して、見に来ていただいた皆さん、「はならぁとサポーター」の皆さんと
わいわいおしゃべりしながら、ゴハンを食べたり、ゆっくり休憩したりできる場所を
つくりたいと思っています。
人って、一緒に食事を共にすると仲良くなれるじゃないですか?
そんな「同じ釜の飯を食う!」を実践したいんです。

 
――とてもおもしろい試みですね!アートがぐっと身近になりそうです。
 
村田:その場所でアートを通して何か一つでも、みなさんにとって新しい視点を
見つけてもらうことができれば、それが作品や展示としての成功なんだと思います。
でも、それは実際に、自分で足を運んでこの場所に来てみないと見つけられないものだと
思いますので、ぜひ会場に足を運んでみてほしいです。
 
――展示も炊き出しも楽しみにしています。
  今日はお話をお聞かせいただいてありがとうございました。

 
 (※1)藤本由紀夫:1950年生れ。美術家。70年代よりエレクトロニクスを利用した
         パフォーマンス、インスタレーションを行う。
         80年代半ばよりサウンド・オブジェの制作を行う。
  
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 <インタビューを終えて>
 
「現代アートのことがよくわからない…という人にこそ楽しんでほしい!」という
村田さんの一貫した熱い思いが感じられました。
現代アート初心者の方も、お気軽に足をお運びいただきたいと思います。
 
私自身、現代アートというと、ついつい特別なものに感じてしまいがちだったのですが、
「いつもと違った見方をする」とか「自分自身を見つめ直す」という行為も現代アートへと
繋がっているとお聞きして、とても身近なものに感じました。
  
皆さんも、「旧たき万旅館」の展示をご覧になりながら、様々な思いを巡らせてみてください。(S)
 
 
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 <キュレーター・出展作家プロフィール>
 
村田典子(むらた のりこ)
1975年大阪生まれ。京都造形芸術大学洋画コース卒業。現在生駒市在住。
コマーシャルギャラリー勤務1年を経て、1998年より大阪心斎橋にて「複眼GALLERY(現・FUKUGAN GALLERY)」
をオープンさせ現在に至る。
ギャラリーとアートフェアなどで現代美術の同世代を中心に紹介しながら、国内外の現代音楽や即興演奏などの
複合イベントも多数開催。
2010年に出産後は地域活動にも積極参加し、作品を紹介販売するだけでなく芸術を介してよりよい社会や生活をめざす、
総合的な「表現」を模索している。

栗田咲子(くりた さきこ)b.1972
1996年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
 主な展示に、「VOCA展」上野の森美術館(東京、2000)、「I am beautiful」PH gallery(ニューヨーク、2006)、
「是が非の絵画」大和プレス(広島、2008)、「絵画の庭ーゼロ年代日本の地平からー」国立国際美術館(大阪、2010)。
パブリックコレクション/国立国際美術館。

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